便潜血陽性

便潜血陽性とは

便潜血陽性便潜血検査は、肉眼では確認できない微量の血液の有無を検査する方法です。この検査によって、大腸や肛門で微小な出血が起こっているかどうかを調べることができます。
便潜血検査で陽性の結果が出た場合、それは大腸がんや大腸ポリープなど、様々な大腸の疾患の早期発見の手がかりとなります。

便潜血検査と
大腸がんについて

便潜血検査で陽性の結果が出た場合、大腸カメラ検査が必要となります。2回検査のうち、いずれか1回でも陽性であれば、大腸カメラによる精密検査の対象となります。大腸カメラ検査は、内視鏡を使用して大腸の粘膜を直接観察する検査です。
健康診断などで行われる便潜血検査は、大腸がんのスクリーニングの一環として行われています。しかし、大腸がんは必ずしも出血を伴うわけではありません。そのため、便潜血検査で陰性であっても、必ずしも大腸がんがないとは言い切れません。
実際に、早期の大腸がんの多くは出血を伴わず、便潜血検査では検出されないこともあります。便潜血検査はスクリーニング検査であり、確実に大腸がんを発見できる検査ではありません。
したがって、便潜血検査で陽性の結果が出た場合は、より確実に大腸がんの有無を調べるために大腸カメラ検査が必要となります。大腸カメラ検査では、出血の有無に関係なく、大腸がんや大腸ポリープなどの病変を早期に発見することができます。

便潜血検査陽性と
陰性について

便潜血検査「陽性」

便に血が混じっている場合、口から肛門までの消化管のどこかで出血が起こっている可能性があります。便潜血検査で陽性となる原因としては、大腸がん、大腸ポリープ、痔、炎症性腸疾患などの疾患が挙げられます。統計的には、約30〜40%の人に大腸ポリープ、約3〜4%の人に大腸がんが見つかることがあります。大腸がんの場合、早期の段階では出血が起こらないことがあり、便潜血検査では検出されないこともあります。
そのため、便潜血検査で陽性の結果が出た場合は、大腸カメラ検査を受けることが重要です。日本では精密検査が必要と判定された人のうち、実際に精密検査を受ける人の割合は約68.7%です。つまり3人に1人は精密検査が必要な状態でも大腸カメラ検査を受けていないという現状です。大腸がんは、早期に発見できて適切な治療を受ければ、根治を目指すことが可能な疾患です。便潜血検査で1回でも陽性が出たら、ぜひ勇気を出して大腸カメラを受けてください。当院では初めての方でも安心して検査を受けられるように、眠ったまま検査が受けられる大腸カメラ検査を行っております。また内視鏡専門医、指導医による正確な診断と的確な治療が可能です。不安がある方も安心して受診してください。

便潜血検査「陰性」

便潜血検査で陰性の結果が出た場合、それは検査時点で便に出血が認められなかったことを示しています。しかし、この結果だけでは、大腸がんや他の消化器疾患が完全に排除されたとは言えません。便潜血検査では、わずかな量の出血を検出することができず、大腸がんやポリープが出血していない可能性も考えられます。
そのため、40歳以上の方は、大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。大腸カメラ検査は、便潜血検査よりも高い精度で大腸内部を観察することができます。これにより、ポリープやがんなどの病変を早期に発見し、適切な治療を行うことができます。

便潜血の検査方法

通常、便潜血検査では1日1回採取した便を2日分提出する方法(2回法)が一般的です。血液は時間の経過とともに便中で分解されるため、正確な検査結果を得るためには、提出日を含めた3日間のうち2日分の便を採取することが推奨されています。ただし、女性の場合は生理期間中は、採取を避ける必要があります。

二次検査について

便潜血検査で陽性反応が出た場合は、大腸や肛門からの出血の可能性があることを示唆します。このような状況では、追加の検査として大腸カメラ検査を早急に受けることが推奨されます。
大腸カメラ検査では、内視鏡を使用して大腸内部の出血部位や状態を直接観察することができます。また、必要に応じて組織を採取して病理検査を行ったり、ポリープを同時に切除することも可能です。
当院では、大腸カメラ検査を受ける際には鎮静剤を使用して、患者様が苦痛を感じずに検査を受けることができるよう配慮しています。初めての大腸カメラ検査や以前に苦しい経験をされた方でも、安心してご相談ください。

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大腸がん撲滅にかける思い

日本はいま、大腸がんで苦しむ患者さんがたくさんいらっしゃいます。がんの中でも大腸がんは罹患数1位、死亡数2位で、毎年5万人以上の患者さんが亡くなられています。しかし大腸がんは早期のうち(ステージ0または1)に発見すれば、95%以上の生存率が得られることがわかっています。つまり早期発見、早期治療がとても大切です。
しかし一方、日本における大腸がん検診受診率は男性44.5%、女性38.5%と約4割の方しか検診を受けておらず、欧米諸国と比べると圧倒的に低い数字です。また便潜血陽性が判明した場合に精密検査を受ける人の割合は68%で、3人に1人は受けていません。
もっと多くの方が大腸がん検診を受けて、陽性だった方が大腸カメラを受けることができれば、日本における大腸がん死亡数は減少するはずで、撲滅も夢ではありません。
私は大腸がんで苦しむ患者さんや、そのご家族をこれまでたくさん見てきました。このような思いをされる方が少しでも減って、明るい未来になるよう心から願っています。当院では大腸カメラに対する恐怖心や苦手意識が少しでもないように心がけて検査を行っています。もしこれまでに検査で辛い思いをしていたり、検査に対して恐怖心がある方は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。