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【女性が便秘に悩みやすいのはどうして?】

■女性に多い便秘という症状

■女性の便秘とホルモンバランスの影響とは

■妊娠と便秘の関係性

■更年期と便秘の関連

■筋力の低下と腸の動き

■ダイエットが招く便秘

■ストレスと自律神経の関係

■食生活の乱れと便秘

■運動不足がもたらす弊害

■水分不足と腸内環境の悪化

■トイレを我慢する習慣と便秘

■よくある質問

 

■女性に多い便秘という症状

①日本人女性の多くが便秘に悩んでいる

便秘は、女性の多くが日常的に抱える身近な健康問題のひとつです。実際、厚生労働省の調査によれば、男性約2.5%、女性約4.4%が便秘を自覚していると報告されています。男性よりも多く、この差はホルモンやライフスタイルの違いに起因すると考えられています。

 

便秘は「たかが排便の問題」と軽視されがちですが、実は放っておくと肌荒れ、腹痛、食欲不振、免疫低下、不眠、さらには腸閉塞のリスクを高めるなど、全身に悪影響を及ぼすこともあります。そのため、便秘は「ただの不快感」ではなく、しっかりとしたケアと予防が必要な体のサインでもあるのです。

 

特に現代の女性は、過度なダイエット志向やストレスの多い生活、デスクワーク中心の働き方など、腸の動きを弱める要素が日常に多く存在します。便秘は誰にでも起こりうる症状ですが、それが「慢性化」してしまうと、改善には時間がかかるようになります。

 

参考:厚生労働省 「令和元年国民生活基礎調査」より

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/14.pdf?utm_source=chatgpt.com

 

②年代別に見る便秘の傾向

便秘の発症傾向は年代によっても異なります。

 

・10代〜20代前半:この時期の女性は、過度なダイエットやファーストフード中心の食生活、生活リズムの乱れが原因となりやすく、食物繊維や水分の不足による便秘が目立ちます。

 

・20代後半〜30代:仕事の忙しさや妊娠・出産を経験する年代。ストレスやホルモンバランスの変化、トイレを我慢する習慣などが複雑に絡み合います。

 

・40代〜50代:更年期に差し掛かることでホルモンの急激な変化があり、腸内環境が乱れがちになります。また、筋力低下や運動不足も重なり、より慢性的な便秘へ移行しやすくなります。

 

・60代以降:加齢に伴う腸機能の低下や、複数の薬の服用(薬剤性便秘)などが原因となるケースが多くなります。長年の便秘が蓄積され、大腸そのものの弾力や動きが鈍くなることもあります。

 

このように、年齢やライフステージに応じて便秘の原因も変化するため、単に「女性だから便秘になりやすい」とは言い切れず、背景にはさまざまな要因が複雑に絡み合っているのです。

 

 

 

■女性の便秘とホルモンバランスの影響とは

①エストロゲンとプロゲステロンの関係

女性の体内では、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンが月経周期に合わせて分泌量を変えています。これらのホルモンは子宮や乳腺だけでなく、実は腸にも影響を与えることが知られています。

 

特にプロゲステロンは、妊娠を維持するために子宮を柔らかく保つ作用を持ちますが、同時に腸の筋肉にも働きかけ、ぜん動運動を抑制してしまいます。そのため、プロゲステロンの分泌が多い時期、たとえば月経前や妊娠中などには、腸の動きが鈍くなり、排便がスムーズにいかなくなってしまうのです。

 

また、ホルモンの変動によって自律神経も影響を受けやすくなり、腸の働きを司る副交感神経のバランスも崩れやすくなります。これが、女性特有の周期的な便秘の原因のひとつです。

 

 

②月経周期と便秘の関係

多くの女性が感じているように、「生理前になると便秘になる」というのはごく自然な現象です。これは、排卵後〜生理前にかけてプロゲステロンの分泌が急増するためです。この時期は、腸の動きが一時的に緩やかになり、便が大腸内に長くとどまるため、水分が吸収されすぎて硬くなりやすくなります。

 

さらに、生理中には腹部の違和感や経血処理の煩わしさから、排便を無意識に我慢してしまうこともあります。これが腸に「出さなくてもいい」と誤解させ、便意が鈍くなる「直腸性便秘」につながることもあるのです。

 

したがって、月経前後の腸の変化を把握し、食事や水分、排便のタイミングを意識的に整えることが、女性の便秘対策としてとても重要です。

 

 

 

■妊娠と便秘の関係性

①妊娠初期〜後期に起きる腸の変化

妊娠中は女性の体が大きく変化しますが、その中でも特に注目すべきなのが腸への影響です。妊娠初期には、胎児を守るためにプロゲステロンが急増します。このホルモンは腸の筋肉の働きを抑制する作用があるため、妊娠が始まった段階で腸の動きが鈍くなり始め、便秘になりやすくなります。

 

さらに、妊娠中期から後期になると、成長した子宮が腸を物理的に圧迫するようになります。これにより、腸のぜん動運動(蠕動運動)が妨げられ、便の移動が遅れ、硬くなり、便秘が進行します。また、つわりなどで水分摂取量が減ることで、便がさらに硬くなるという悪循環も生まれます。

 

妊娠後期には体を動かす機会も少なくなり、筋力低下も加わって便秘がより顕著になります。これらの要因は妊娠中の全ての期間に影響し、多くの妊婦が便秘を経験すると言われています。

 

 

②妊娠中にできる安全な対処法

妊娠中の便秘対策では、安全性が最優先されるべきです。市販の下剤や浣腸を自己判断で使うのは症状が改善しない可能性もあります。まずは、以下のような自然な方法で腸の動きを整えるのが理想的です。

 

・水分補給:こまめに水や白湯を飲む(1日1.5〜2Lが目安)

・食物繊維を摂る:野菜、果物、玄米、海藻などを毎食意識

・発酵食品の摂取:ヨーグルト、味噌、納豆で善玉菌を増やす

・軽い運動:妊婦体操やマタニティヨガ、ウォーキングで腸を刺激

・リズムある排便習慣:毎朝、決まった時間にトイレに行く習慣をつける

 

どうしても便秘がつらい妊婦の方は、産婦人科で相談し、妊婦向けに処方される便秘薬を使うのが安全です。

 

 

 

■更年期と便秘の関連

①ホルモン減少による腸の機能低下

更年期に入ると、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少します。この変化は月経が不規則になるだけでなく、腸のぜん動運動にも大きな影響を与えます。エストロゲンには腸の筋肉の緊張を保ち、正常なリズムで排便を促す働きがあるため、これが不足すると腸の働きが緩慢になってしまうのです。

 

また、更年期は自律神経が乱れやすい時期でもあります。ストレスや睡眠の質の低下などが重なり、副交感神経の働きが弱まることで、腸の運動が抑制され、便秘を助長する原因となります。

 

さらに、この時期は運動量の減少や筋力の低下、内臓脂肪の増加などもあり、腸そのものの機能が落ちやすく、慢性的な便秘へと進行しがちです。

 

 

②更年期の便秘に効く食習慣

大豆製品の活用:大豆に含まれるイソフラボンは植物性エストロゲンとして働き、ホルモンバランスを穏やかに整える効果が期待できます。

 

・水溶性食物繊維の摂取:オクラ、モロヘイヤ、海藻類などは腸内でゲル状になり、便をやわらかくします。

・発酵食品の継続摂取:納豆、味噌、ヨーグルトなどを毎日取り入れることで、善玉菌を増やし腸内環境を改善します。

・油の質にこだわる:オリーブオイルやアマニ油など、良質な油は腸の潤滑剤としても有効です。

 

日々の食事に少しの工夫を取り入れるだけでも、便秘は驚くほど改善します。

 

 

 

■筋力の低下と腸の動き

①骨盤底筋の弱化が原因?

排便には、腹筋や背筋、そして「骨盤底筋群」と呼ばれる筋肉が重要です。これらの筋肉が連動して、便を押し出す力を生み出しています。女性は出産や加齢によって骨盤底筋が弱くなりやすく、これが原因で腹圧がかかりにくくなり、便秘を引き起こすことがあります。

 

特に長年便秘に悩んでいる女性の中には、「力んでも出ない」「残便感がある」という症状を抱える方も多く、これらは筋肉の低下が原因となっているケースが非常に多いのです。

 

 

②女性に必要な腸活エクササイズ

便秘改善に効果的な運動として、以下のようなエクササイズがあります。

 

・ドローイン:お腹をへこませて10秒キープ×10回。インナーマッスル強化に効果的。

・骨盤底筋体操:尿を止めるようにキュッと締める→ゆるめるを10回×3セット。

・お腹ひねりストレッチ:椅子に座って上半身を左右にひねる運動で、腸に直接刺激を与える。

 

これらはどれも自宅で簡単にできるものばかり。継続すれば確実に腸の動きが良くなり、便秘が軽減されます。

 

 

 

■ダイエットが招く便秘

①極端な食事制限が腸を弱らせる

「痩せたいから食事を減らす」というダイエットが、知らず知らずのうちに腸の健康を損なっているケースは少なくありません。特に女性は、体型や美容意識の高さから極端な低カロリーダイエットに走りやすく、その結果、食事量が不足し便の材料がそもそも足りなくなるという問題に直面します。

 

また、断食やファスティングなどで食事の間隔が空くと、腸が「休眠状態」になり、ぜん動運動が鈍化。便を押し出すリズムも崩れてしまいます。これが続くと「腸が働かないこと」に慣れてしまい、慢性便秘の原因になります。

 

 

②食物繊維不足が起こす悪循環

現代女性の食生活では、食物繊維の摂取量が大きく不足しています。厚生労働省が推奨する1日あたりの摂取目標は18g以上ですが、実際の平均摂取量は13g前後にとどまっています。

 

不足した状態が続くと、腸内の善玉菌が減少し、有害物質を含む便が大腸内に長く滞在することに。これにより悪玉菌が増え、さらに腸の動きが鈍くなるという悪循環が生まれます。

 

バランスの良いダイエットには、必ず食物繊維と水分をセットで取り入れることが基本。たとえば、玄米、オートミール、キノコ類、根菜類などは美腸食としても優れた食品群です。

 

 

 

■ストレスと自律神経の関係

①女性はストレスを感じやすい?

女性はホルモンの影響もあり、感情や体調の変化に敏感になりやすい傾向があります。仕事、家庭、人間関係など複数のストレス要因にさらされる中で、自律神経のバランスを崩しやすく、それが腸の働きにも悪影響を及ぼします。

 

ストレスを感じると交感神経が優位になり、腸のぜん動運動が抑制されてしまいます。また、ストレスホルモンであるコルチゾールが腸粘膜を傷つけ、腸内環境の悪化を招くという報告もあります。

※便秘との関連性は医学的には支持されているものですが、男性と比べた結果等はまだ存在しません。

 

 

②副交感神経と腸のつながり

副交感神経は「リラックス神経」とも呼ばれ、腸のぜん動運動を促進する役割があります。食後や睡眠時など、リラックスしたタイミングで活性化されますが、ストレスが強いとその活動が阻害されてしまいます。

 

腸の調子を整えるには、まず心を整えることが大切です。深呼吸、瞑想、アロマセラピー、散歩、趣味の時間など、自律神経を整える習慣を日常に取り入れることで、自然と排便リズムも戻ってきます。

 

 

 

■食生活の乱れと便秘

①朝食抜きが及ぼす腸への影響

「朝は食欲がない」「時間がない」と朝食を抜く人が増えていますが、これは腸にとって大きなマイナスです。朝食を食べることで「胃結腸反射」という排便を促す反射が起きます。この刺激がなければ、腸が「排便のタイミングだ」と認識できなくなり、結果的に便秘に繋がるのです。

 

特に女性は朝に化粧や身支度を優先して朝食を抜く傾向があり、これが長期間続くと腸の活動が鈍化し、排便リズムが失われてしまいます。

 

②加工食品中心の食事リスク

手軽さや時短を求めて、コンビニ弁当やインスタント食品などの加工食品を中心とした食生活も便秘の原因になります。これらの食品は食物繊維がほとんど含まれていない上に、添加物や過剰な塩分が腸内環境を乱します。

 

食物繊維の摂取目標量を意識し、自然素材の食事(野菜、果物、全粒粉製品など)を中心に構成することが、便秘の予防と改善には不可欠です。

 

 

 

■運動不足がもたらす弊害

①デスクワーク中心の生活

現代社会では、パソコン業務中心のデスクワークが主流となり、1日中座りっぱなしという人も多いでしょう。特に女性は筋肉量が男性より少ないため、運動不足の影響が腸に直結しやすくなります。

 

腸は筋肉の働きによって物理的に便を移動させていますが、長時間動かないことで、その運動が停滞してしまうのです。

 

腸内を刺激する日常運動とは

腸を刺激するには、激しい運動ではなく「継続的な軽運動」が効果的です。

 

・ウォーキング(1日30分)

・階段の昇り降り

・ヨガやストレッチ

・ラジオ体操

 

これらはすべて腸のぜん動運動をサポートし、排便リズムを整える働きがあります。

 

 

 

■水分不足と腸内環境の悪化

①女性に多い「隠れ脱水」

「トイレが近くなるのがイヤ」「むくみが気になる」などの理由から、水分摂取を控える女性は少なくありません。実はこれが、便秘の原因のひとつになっています。

 

体内の水分が不足すると、腸内でも便に含まれる水分が吸収されすぎてしまい、便が硬く、排出しにくくなります。この「隠れ脱水」は、冬場や室内勤務の人ほど陥りやすいので注意が必要です。

 

 

②効果的な水分補給の方法例

・朝起きたらまずコップ1杯の水を飲む

・食事の前後に水や白湯を飲む

・カフェインのない飲み物(麦茶・ハーブティー)を常備

・水分だけでなく塩分も一緒に摂る(スポーツドリンク・みそ汁など)

 

 

 

■トイレを我慢する習慣と便秘

①社会的要因とトイレ環境の影響

女性に多いのが「職場でトイレに行きにくい」「外出先のトイレが気になる」という理由で排便を我慢してしまう習慣です。排便のタイミングを逃すと、直腸が「便意を感じにくい」状態に変化してしまい、便秘を慢性化させる要因になります。

 

 

②我慢が腸に与えるダメージ

便を長時間直腸内に溜めておくと、腸がその状態に慣れてしまい、次第に便意が弱くなります。さらに、便が長時間大腸内に留まることで水分が過剰に吸収され、便が硬くなるという悪循環に。

 

 

 

■よくある質問

Q1. 甘いものを食べすぎると便秘になりますか?

  1. はい、なる可能性があります。

砂糖の過剰摂取は、腸内で悪玉菌を増殖させ、善玉菌のバランスを崩します。特にスイーツや加工された甘い飲み物などは、食物繊維をほとんど含まないため、便の形成や腸のぜん動運動に悪影響を及ぼします。

 

 

Q2. 便秘が肌荒れの原因になるのは本当ですか?

  1. はい、本当です。

便秘になると、腸内に溜まった老廃物が血液を通じて体中に回り、「腸内毒素」として肌に悪影響を及ぼすと考えられています。これにより、吹き出物やくすみ、乾燥などの肌トラブルが起こりやすくなります。

 

 

Q3. コーヒーやお茶は便秘解消に効果がありますか?

  1. 一部の人には効果がありますが、逆効果になる人もいます。

カフェインには腸を刺激して排便を促す作用がありますが、利尿作用が強く体内の水分が失われると、かえって便を硬くすることがあります。体質に合うかどうかを見極めながら、適量を守ることが大切です。

 

 

Q4. 便秘と腸閉塞はどう違うのですか?

  1. 便秘は腸の動きが遅くなる状態で、腸閉塞は物理的または機能的に腸が詰まる状態です。

便秘は時間をかけて改善できますが、腸閉塞は腹痛・吐き気・ガスが出ないなどの重い症状が現れ、放置すると命に関わる可能性があります。強い痛みや長引く症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。

 

 

Q5. 起床後すぐにトイレに行っても出ないのは異常ですか?

  1. 異常ではありませんが、腸の準備が整っていない可能性があります。

排便は「胃結腸反射」によって促されるため、まずコップ1杯の水を飲み、軽く体を動かすなどして腸にスイッチを入れることが大切です。時間に余裕を持ち、毎朝同じ時間にトイレに座る習慣をつけましょう。

 

 

Q6. 運動しても便秘が治らないのはなぜですか?

  1. 原因が複合的な場合、運動だけでは改善しないことがあります。

便秘は食事、水分、ストレス、睡眠、ホルモンなど複数の要素が絡んでいます。運動は大切ですが、それ以外の生活習慣や腸内環境、排便のタイミングなども総合的に見直す必要があります。