予防接種

当院での予防接種について

当院では、成人の方々に対してインフルエンザワクチン、新型コロナワクチン、肺炎球菌ワクチン、帯状疱疹ワクチンなどの接種を実施しています。インフルエンザワクチンの接種は、通常10月以降から開始されますが、自治体によっては接種開始時期が異なる場合もあります。接種をご希望の場合は、お問い合わせ後にご予約いただけますようお願いいたします。
また、妊娠を予定されているご夫婦のための風疹ワクチンなど、上記以外の予防接種についてもご希望があればお問い合わせください。
なお、予防接種を受けるために来院される場合、ご自宅で体温を測ってからお越しいただくとスムーズに接種を受けることができます。

予防接種とは

予防接種は、重症化するリスクの高い感染症の発症や重症化を予防するために行われています。ワクチンを接種することで、体内にウイルスや細菌などの病原体に対する抗体が生成されます。抗体は体内に侵入した病原体と結合し、除去する役割を果たします。これにより、感染症にかかるリスクが低下し、もし感染しても重症化を防ぎます。

予防接種に関するご注意

予防接種をご希望の場合は、まずお電話でお問い合わせの上、ご予約ください。複数のワクチンを接種希望の場合、適切な接種スケジュールを計画することが大切です。医師、看護師が説明しますのでお気軽にご相談ください。接種時には、事前にお渡しする予診票を十分にお読みいただき、内容を理解された上で接種を受けるようお願いいたします。

予防接種を受けられない・ 受ける際に注意が必要な方

以下の状況に当てはまる方は、ご予約の際にお知らせください。

  • 発熱している(37.5℃以上)
  • 重い急性疾患に罹患している
  • 心臓病、腎臓病、肝臓病、血液疾患などの治療中である
  • 免疫抑制剤を使用している(生ワクチンのみ接種不可)
  • ワクチンに含まれる成分に対するアレルギーがある(例:鶏卵、安定剤など)
  • 過去に受けた予防接種で、接種後2日以内に発熱、発疹、じんましんなどのアレルギー症状が出たことがある
  • 痙攣を起こしたことがある
  • 免疫不全の診断を受けたことがある、または先天性免疫不全の血縁者がいる

なお、上記以外に気になることがある場合も、お気軽にご相談ください。

当院で接種可能なワクチン

当院で扱っているワクチンは以下の通りです。基本的には成人が対象となっており、小児の予防接種は受けておりません。公費で接種が受けられるものや、自費もしくは一部に公費負担が適応されるものがあります。

受けられるワクチン  
B型肝炎

任意接種。どなたでも受けられます。

麻疹・風疹(MRワクチン)

任意接種。1962年4月2日~1979年4月1日生まれの男性は無料クーポン対象者です。

インフルエンザ

定期接種。どなたでも受けられ、65歳以上は一部公費負担あり。

高齢者肺炎球菌感染症(65歳以上)

定期接種。65歳以上が対象で、一部公費負担あり。5年ごとに接種が必要です。

帯状疱疹

任意接種。50歳以上の方、帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の方が対象者です。

予防接種後の注意点

接種後は、およそ10分~20程度の経過観察時間が必要です(ワクチンの種類により経過観察時間が異なります)。この時間は基本的に院内でお過ごしいただくようお願いしています。もし院外に出る場合は、すぐに当院に戻れる場所でお待ちください。また、接種部位に異常がある場合は、速やかにスタッフにご相談ください。
接種後、24時間は体調の変化が起こる可能性がありますので、運動や飲酒は控えましょう。シャワー浴や短めの入浴は可能です。また、接種部位は清潔に保ち、押したり揉んだりするなどの刺激を避けてください。

インフルエンザワクチン

インフルエンザとは

インフルエンザは、感染症の一種であり、通常は冬季に流行します。発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、寒気などの全身症状が急激に現れるほか、咳や鼻水、のどの痛み、腹痛、下痢などの症状も起こることがあります。免疫力の低いお子様や高齢者は重症化するリスクが高く、肺炎などの合併症が生じる可能性もあります。また、重症化すると脳炎などの合併症も起こることがあります。特に幼いお子様は中耳炎を併発しやすいため、注意が必要です。予防接種を受けることで、発症や重症化を予防することができますので、積極的に受けることをお勧めします。もしインフルエンザの疑いがある場合、診療前の事前問診へのご記入をお願いしております。また、診察を受ける前に当院まで電話でご連絡ください。これにより、スムーズな診療が可能となりますので、ご協力をお願いいたします。

毎年の予防接種で備えを

インフルエンザウイルスは年々変異を起こし、異なるタイプが毎年流行します。そのため、インフルエンザワクチンは毎年、流行が予測されるタイプにもとづいて作られています。
定期的なワクチン接種により、免疫を高めることができ、感染や重症化を予防する効果が期待されます。したがって、毎年の定期的な接種を受けることで、インフルエンザから身を守ることができます。

インフルエンザワクチンの
接種時期

流行シーズン前にワクチン接種を受けることで、効果的な予防が可能です。ワクチン接種後は、約2週間程度で抗体が形成され、その効果は約5か月持続するとされています。
日本では通常、12月から翌年3月頃にインフルエンザが流行しますので、10月下旬から12月上旬までの期間に接種を受けることで、流行シーズンを適切にカバーすることができます。

ワクチン対象者について

日本感染症学会は生後6か月以降の禁忌がない方すべてにワクチン接種を推奨していますが、以下の因子を有する人はインフルエンザに罹患した場合の合併症リスクが高いとされており、特に接種を推奨します。

  • 6か月以上5歳未満
  • 65歳以上
  • 慢性呼吸器疾患(喘息やCOPDなど)
  • 心血管疾患、慢性腎疾患、慢性肝疾患
  • 糖尿病
  • 妊婦
  • 長期療養施設の入所者
  • 著しい肥満
  • アスピリン(バイアスピリン®)の長期投与を受けている者
  • 担がん患者

肺炎球菌ワクチン

肺炎とは

肺炎は、肺に細菌やウイルスなどの病原体が感染し、炎症を引き起こす状態です。その中でも最も一般的な原因病原体は肺炎球菌です。通常、健康な状態では免疫システムによって病原体は排除され、感染は起こりません。
しかし、免疫力が低下した状態や他の上気道や下気道の感染により、病原体が広がり肺に感染すると肺炎が発症します。厚生労働省によると、日本において肺炎は長い間、死亡原因の上位に位置しており、そのほとんどは65歳以上の高齢者が占めています。
また、糖尿病など免疫力を低下させる慢性疾患を抱えている場合は感染や重症化のリスクが高まります。そのため、高齢者や慢性疾患を抱える方は特に予防策が重要となります。

肺炎球菌ワクチンの接種で
予防

肺炎の原因となる病原体は多岐にわたりますが、成人において最も一般的な原因は肺炎球菌です。肺炎の発症原因の中で、20〜40%が肺炎球菌によるものとされています。肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌による肺炎などの感染症の発症や重症化を予防する効果があります。
ただし、ワクチンを接種したからといって完全に免疫が得られるわけではありません。日常生活においても引き続き予防策に気を配ることが重要です。

成人用肺炎球菌ワクチンの
接種をお勧めしたい方

肺炎球菌ワクチンの接種は、以下の方々を対象として推奨されています。

  • 65歳以上の高齢者
  • 養護老人ホームや長期療養施設に居住している方
  • 呼吸器疾患(特にCOPDなど)、糖尿病、慢性心不全、肝炎や肝硬変などの慢性肝疾患などの持病を抱えている方
  • 病気や免疫抑制療法のため感染症にかかりやすい状態にある方
  • 脾臓摘出などによる脾臓機能不全がある方

肺炎球菌ワクチンは、定期接種の対象となっており、市町村が実施する予防接種で公費助成を受けることができます。接種間隔は5年が推奨されており、再接種は必要ありませんが、5年以内の再接種は副反応が強く現れる可能性があります。
接種後には注射部位の症状や体調変化が起こることがありますが、通常は数日で治まります。インフルエンザワクチンとの併用接種もおすすめされています。

帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹は、80歳頃までに3人に1人が発症するとされている比較的一般的な病気です。発症すると、強い痛みを伴い、その痛みが長期間続くことがあります。この病気は、幼少期に水痘に感染し、その後も水痘ウイルスが体内に潜伏している状態であることが原因とされています。潜伏していたウイルスが再び活動を始めることで、帯状疱疹が発症します。
帯状疱疹の発症リスクが高い、50歳以上で水痘にかかった経験のある方は帯状疱疹予防ワクチン(水痘ワクチン)の接種を受けることができます。また帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の方にも適応が追加されておりますので、適応があるかわからない方は医師にご相談ください。当院では、水痘ワクチンとシングリックスの2種類のワクチンを取り扱っております。

  水痘ワクチン シングリックス
ワクチンの種類 生ワクチン 不活化ワクチン
接種回数 1回 2回(2か月あけて2回目接種)
予防効果 50~60% 90%
副作用 接種部位の腫れや痛み(皮下注射) 接種部位の腫れや痛み(筋肉注射なので痛みの頻度が多い)
料金 9,200円(税込) 22,000円(税込)/回
メリット 1回で済む、値段が安い 予防効果が高く効果が持続する
デメリット
  • 生ワクチンなので免疫が低下している方には接種できない
  • 効果の持続期間が短い
  • 注射部の痛みが生じやすい
  • 2回打たないといけない
  • 費用が高い

ワクチンの接種をご希望される場合は、まずはお問い合わせください。ただし、ワクチンの申し込み後はキャンセルができませんので、ご了承ください。また、予約いただいた後に予防接種を受けなかった場合でも、ワクチンの実費がかかる可能性がありますので、ご注意ください。

接種できない方

  • 免疫に影響する疾患がある方(例;悪性腫瘍、白血病、HIV感染など)
  • 免疫抑制剤を処方されている方