脂質異常症

脂質異常症について

脂質異常症脂質異常症は、血液中の脂質が一定基準値よりも高くなる状態です。以前は高脂血症と呼ばれていたもので、①LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)高値、②HDLコレステロール(善玉コレステロール)低値、③中性脂肪高値などの総称です。例えば、コレステロールや中性脂肪の量が増えると、動脈硬化のリスクが高まります。脂質異常症のある方は、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが増加するとされています。日本には、脂質異常症の方が401万人いるとされています。
脂質異常症は自覚症状がほとんどないため、本人が気付くことは難しい場合があります。しかし、突然心筋梗塞などの発作を起こす可能性もあるため、早期の発見と適切な治療が重要です。定期的な健康診断で脂質異常症の疑いが指摘された場合は、迅速に医療機関を受診し、専門医の指導のもとで適切な治療を行うことが大切です。

脂質異常症の原因

脂質異常症の発症原因として、肥満、運動不足、喫煙などの生活習慣が関与しています。これらの要因は、脂質の代謝に影響を与え、血液中の脂質濃度を上昇させる可能性があります。また、食事面でも高脂肪や高カロリーの食事、ビタミン・ミネラル・食物繊維の不足、過度の飲酒が脂質異常症のリスクを高める要因となります。
悪玉コレステロール上昇の原因の一つは食事中の飽和脂肪酸の過剰摂取です。肉の脂身やバター・クリームなど脂肪分の多い調味料、チョコレートやカップラーメンなどに多く含まれます。中性脂肪は、甘いもの・糖質、酒、揚げ物などエネルギー量の多い食物を摂取することで上昇します。青魚に含有されるω-3(オメガスリー)系多価不飽和脂肪酸は中性脂肪を下げる働きをするため近年注目されています。

コレステロールは単に食生活だけではなく、女性ホルモン(エストロゲン)の低下や甲状腺機能低下症、家族性高コレステロール血症なども要因となりうるため、専門医の診察をきちんと受けて隠れた疾患などを検査で調べることが大切です。また、動脈硬化の度合いやプラークの有無をみるために頸動脈エコーなどの検査も重要です。

脂質異常症の治療・予防

食事療法

食事療法暴飲暴食を避けましょう。脂肪や糖分の多い食事を抑え、栄養バランスを考えた適量を摂取してください。動物性脂肪の摂取を減らし、代わりに魚介類や豆類などのタンパク源を選びましょう。食事をゆっくりと噛みながら摂ることで満腹感を得られ、腹八分目で済ませることができます。

運動療法

運動療法ウォーキングなどの軽い有酸素運動を継続して行いましょう。また、日常生活でも階段を使ったり、積極的に身体を動かす工夫をしましょう。できるだけ毎日適度な運動を心がけることをおすすめします。ただし、心臓疾患や関節の問題などがある場合は、医師と相談しながら運動を行ってください。

薬物療法

食事や運動などの生活習慣を改善したにも関わらず効果が得られない場合は、薬物療法が必要になることがあります。当院では患者様の体質やライフスタイルに合わせて適切な薬を処方しています。薬物療法に関して心配や不安がある場合は、お気軽にご相談ください。